ヘルスリテラシー向上で医療における意思決定をサポート|ジャパンケアコンサルタンツ

 

 
 
 
 
 

医療における意思決定

自分自身の健康に関する知識を高めることが第一歩

ー日野原重明先生の言葉を胸にー

 

東日本大震災から得た教訓

2011年、東日本大震災の後、東北地方から避難されてきた方々の治療にあたっていた際のことです。私のみならず、当時治療にあたった多くの医師が困ったことがありました。

 

患者さんを初めて診察し、投薬にあたる際、最も大切なのは、問診です。「現在の体調」や、「それまでの経過」、必要であれば、「それまでに受けた検査の概要」や「どんな薬を飲んでいたか」といったことを確認しながら、医師は治療にあたります。

 

その問診の際、大多数の患者さんが、大まかな経過のみならず、それまでに内服していた治療薬などについて、答えることができませんでした。それまでに通院されていた病院やクリニックなども被災していたため、紹介状はもちろん、カルテその他のデータもありません。十分な時間を問診に割いても、患者さん自身がそれまでに受けていた治療内容について説明できず、多くの医療機関で必要な再検査が行われ、対処することになりました。

 

もちろん、上手に答えられなかった患者さん達が悪いわけではありません

 

年を経るにつれ、内服している治療薬の種類は多くなる傾向があり、覚えている方が珍しいというのが、現状です。だからこそ、患者さんは、普段通院している病院以外の医療機関を受診する際、それまでの担当医に紹介状を書いてもらうシステムになっているのです。体調不良の際、きちんと病院を受診し、医師に処方された薬を間違いなく、忘れずに内服するというだけで、患者さんとしては、十分に優等生です。

 

では、医療機関に問題があるのでしょうか。もちろん、そんなことはありません。日本では、医師偏在が社会問題になっており、東北地方はただでさえ、医師が不足しています。多くの先生方は、日々の診療に多忙を極める中、最善の医療の実現に努力しておられます。

 

しかし、災害後に限らず、予期せぬ事態に直面した際、遅滞なく、必要な治療を受けるためには、日頃の自分の健康状態や、治療経過などを正しく理解し、即、説明できる方が好ましいには違いありません。

 

このようなことは、実は、1995年の阪神大震災の後にも指摘されていました。

 

即効性のある解決策はありません。

 

若いうちから、そして会社に勤めているうちから、医療に関心を持ち、自分の健康状態について把握する習慣つけておく、ということが、第一歩なのだと思います。

 

医師の重要な仕事とは?

 

医学の進歩に合わせて、その時代における最良の治療を行うことが、医師の仕事です。しかし、東日本大震災で被災した方々の治療を経験した後、患者さん自らが、自身の健康状態を正確に理解し、自分が受ける医療を医師と共に考え、自分にとって最も適切な治療を選択できるようにすることも、医師の重要な仕事の1つと考えるようになりました。

 

医師を信頼するということと、全てを「医師任せ」にすることは、異なるからです。

 

この時の考えをまとめた医学界への提言が、Lancet、Annals of Internal Medicineという国際医学ジャーナルに掲載されました。Lancetでは、震災関連死について考察し、震災後の患者中心医療の重要性について報告しました。そしてAnnals of Internal Medicineには、ヘルスリテラシーの重要性を説き、特に高齢者に対して医師は、健康的な生活を送るためのパートナーであるべきと論じました。これら世界的に有名な医学誌に、著名な学者でもない、当時地方クリニックの経営者であった私の意見が掲載されたことは、大変名誉なことでした。ヘルスリテラシーと患者中心医療が、世界中の医師にとっての関心事であり、医学会にとっても重要な課題なのだと思います。

 

この経験が、当社設立のきっかけとなりました。

 

さて・・・・・・・・・

 

医療技術の進歩によって、患者さんが選べる治療法がどんどん増える一方、その選択に悩まれる患者さんが増えています

 

身近な例を挙げてみましょう。

 

例えば、腰痛で病院を受診し、椎間板ヘルニアなどと診断された場合、投薬、注射、神経ブロック、理学療法、手術、さらにはマッサージや鍼灸などの選択肢があります。

 

どの治療法を選びますか?

 

健診で高血圧や糖尿病を指摘され、クリニックを受診する際、まだ自分では薬を飲みたくないのに薬物療法を勧められた場合、どうするでしょう。

 

医師に言われるがまま、薬をのみますか?
それとも、「他に治療法はありませんか」と質問しますか?

 

さて、皆さまは何とお答えになるでしょう。

 

「かかりつけ医を信頼しているから、全て任せている」という方もいらっしゃるかもしれません。

 

しかし、医師は病気に関しては、もちろん専門家ですが、あなた」という患者さんの専門家ではありません。治療を受ける際は、患者さん自らが治療に対する嗜好、価値観、不安などを言葉にして表現し、医師と共有することによって、より良い治療が実現するのです。

                            

医療の主役は誰?

 

これまで日本では、パターナリズムといって、医師が診断から治療までの方針を決めて、患者さんはそれに従うというケースが多く見られました。検査や治療に関して「医師任せ」「病院任せ」になってしまう傾向が強いということです。

 

「患者さんの意見をもっと反映させるべき」と言うと、「治療法や投薬内容について、患者さんはいかなる場合も医師の指示に従うべき」と反論する医師を何度となく見てきました。医師会、その他の学会に所属しておられる先生方の場合、「患者さんの意見をもっと反映させるべき」という当社の考え方に多くの賛同を得られるものの、あまり良い顔をされない先生方も一定数いらっしゃるといった状況です。この件に関しては、恐らく一般の患者さん達の方が、実感されていることと思います。というのは、「もっとわかりやすく説明して欲しい」「他に治療法はないのか」という質問をして、実際に医師に嫌な顔をされた、という多くの患者さんの声をこれまで何度も聴いてきたからです。

 

しかし、患者さんが納得せずして、よい医療が実現することはありません。

 

現在、医師と患者さんがお互いに情報を出し合って、対等の立場で治療法を選択していくシェアード・ディシジョン・メイキング(Shared Decision Making)という方法が、医学の世界では急速に広まり、世界各国にて当然のことと考えられるようになりました。

 

この際に、適切な意思決定をできるようにすることは、その後の患者さんの生活を左右するとても大切なことです。

 

自分の健康状態や治療中の病気について、「どんなことを知っていなければならないのか」「どんなことに注意して治療を受けなければならないのか」ということを理解していただき、かかりつけ医の先生とより良い関係を築いていただくよう支援することが、当社の重要なミッションと考えています。

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日野原重明先生の言葉

 

企業の経営者・担当者の方々から、コンサルティングの依頼をいただくたび、当社が提供している医療サービスのニーズの高さを実感します。

 

しかし、未だ自分の思いの一割も実現できてはいません。

 

あせり、不安を自覚するたびに思い出す言葉があります。

 

人間ドックなど新しい試みを導入した際の困難を語りつつ、「変化を恐れるな」「一歩踏み出せば、違う風景が見えてくる」「行動によって不安は消える」ということを熱心に説いて下さった、日野原先生の言葉です。

 

これからもこの言葉を心に刻み、努力していきたいと思います。