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メンタルヘルス対策の盲点

・「働き方改革を推進しているが、現在のメンタルヘルス対策は適切なものだろうか?」

 

・「メンタルヘルス対策で、早期発見・早期の精神科受診を励行しているが、問題ないだろうか?」

 

・「社員のメンタルヘルス対策については、全て産業医に任せている。それで問題ないだろうか?」

 

社員の健康維持の一環として、メンタルヘルス対策に積極的に取り組んでおられる企業経営者や担当者の方の中には、このような疑問を持つ人も多いと思います。

 

このページでは、現場でよく見られるメンタルヘルス対策の盲点について、わかりやすく説明いたします。 

 

多くの企業で陥りがちな、メンタルヘルス対策の落とし穴には、以下のようなものがあります。


1. 早期対応と安易な病院受診は別

 

職場のストレスを訴える社員に「病院に行って診断書をもらって来い。とにかく休め。」という指示を出す上司をよく耳にします。病休の手続きをせずに欠勤が繰り返された場合、上司の監督責任、企業の安全配慮義務違反や使用者責任が問われる可能性があるという背景によるものです。

 

しかし、こういった対応は、労務問題を医療問題にすり替えているだけです。社員にしてみれば、休養することで一時的に楽になるかもしれませんが、労働環境は何も変わっておらず、本質的な解決にはなりません。とは言え、社員のメンタルヘルス不調に対して、どのタイミングで医療機関に受診させるべきかの判断は、医学知識を持たない上司の方にとって、当然難しいと思います。

 

それ故、産業医や外部の専門家を有効に活用する必要があるのです。

 

2. ストレスチェックの過信は禁物

 

ストレスに対する感じ方は、人それぞれ違います。

 

仕事熱心な社員の中には、多少のことは我慢して限界まで仕事を続け、上司や同僚に助けも求めず、医師に相談することもありません。結果として病状の悪化や、深刻な状態を招くことがあります。

 

健康診断やストレスチェックですぐに引っかかる人より、なかなか引っかからない人の方が、ぎりぎりまで追い詰められやすく、危険なことがあります。

 

さらに、ストレスチェックに対して正確に回答すると、社内人事で不利になると考え、正直に答えない社員の方が多いというのが現状です。

 

3. うつ病診断に関する問題

 

代表的なメンタルヘルス疾患であるうつ病を診断する際、医師はDSM-5 (米国精神医学会の診断・統計マニュアル) や ICD-10 (国際統計分類) と呼ばれる、国際的な診断基準を使用します。専門家の間では、これらの診断基準に問題があることが指摘されています。

 

というのは、血液検査や画像検査などの客観的な指標でなく、患者さんの自覚症状に基づいて診断するため、患者さんが診断基準に該当する自覚症状を訴えれば、一律にうつ病の診断がついてしまうからです。そのため、一時的な精神的落ち込みや、抑うつ反応といった必ずしもうつ病とは言えないメンタルヘルス不調者に対して、不適切な投薬が行われるケースがしばしばあります。

 

このようなケースは、本人が薬による副作用のリスクに晒されるだけでなく、会社にとっても大きな人的損失となります。十分な注意が必要だと考えられます。

 

4. 現行の産業医制度の課題

 

一口に産業医といっても、バックグラウンドは様々です。医学部を卒業して即、企業に常勤産業医として勤務した医師。病院や診療所で内科医や外科医として勤務した後、産業医となった医師。当然、それぞれ得意・不得意が異なります。

 

現在メンタルヘルスに対応できる産業医は全国的に不足しています。一方、がんや心臓病などの治療後、あるいは治療を受けながら会社勤務をする社員の増加に伴い、内科の診療経験を持つ産業医のニーズも高まっています。

 

現在産業医は、企業全体に対して指導監督を行う他、労働者への面談など個別対応も行い、業務負荷が集中している状態です。このような状況の中、企業が適切に社員の健康を守るためには、産業医に対応を丸投げするのではなく、必要な措置を適宜アウトソーシングすることが求められています。当社にも、産業医業務を補完する依頼は寄せられています。

 

企業のメンタルヘルスの現状については、こちらをご覧ください。

企業が取り得るメンタルヘルス予防については、こちらをご覧ください。

従業員支援プログラム(EAP)については、こちらをご覧ください。


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