・「従業員支援プログラム(EAP)とは、具体的にどんなものか?」
・「従業員支援プログラム(EAP)は、健康経営に有効なのか?」
・「従業員支援プログラム(EAP)は、実際にはどのように活用すればよいのか?」
健康経営優良法人を目指す企業の経営者や担当者の方の中には、このような疑問を持つ人も多いと思います。
このページでは、従業員支援プログラムの現状、企業の導入理由、効果的な活用法について、わかりやすく説明いたします。
生産性と競争力を高める。企業イメージをより良くして優秀な人材を獲得したい。
このように考える経営者にとって、EAPの戦略的活用は、今後必須なものになるでしょう。
よく受ける質問を提示します。
EAP導入を考えている企業の参考になればと思います。
EAPは、一般的に「従業員支援プログラム」と和訳されています。
社員のメンタルヘルスを適切にケアし、パフォーマンスを改善することによって、生産性を上げることを目的にアメリカで導入されました。
2017年のデータによると、フォーチュン500の88%の企業がEAPを導入しています。
日系・外資系を問わず、社員にかかるストレスは、成果主義の下、日々増大しています。メンタルヘルス不調は、社員の健康状態に問題を起こすだけでなく、企業の生産性低下の原因にもなります。
社員のストレスを減らし、心身のコンディションを整えることによって、パフォーマンスを改善しようと、EAPを導入する企業は増えています。生産性の向上および労働者に対する安全配慮義務の一環として、EAPを導入する企業は今後も増加するものと思われます。
以前は、
1. コンプライアンス遵守: 労働基準法、労働安全衛生法を遵守し、安全配慮義務を果たしていることを示すことよって、労働災害発生時の責任問題を最小限に抑えたい
2. リスクマネジメント: メンタルヘルス不調者の発生で、生産性の低下による損失を軽減したい
3. コストカット: メンタルヘルス不調者の休職や離職による、新規採用コストを削除したい
という企業が多くみられました。
これに対し最近は、「社員の能力が最大限に発揮できる環境を作りたい」、
「社員の満足度を高めたい」、「職場の活性化を内外に示すことによって企業イメージを上げたい」という経営者が増えています。
EAPには、大きく分けて2つあります。
会社自体の資源で対応する内部EAPと、社外の専門期間に委託する外部EAPです。
従業員規模の大きな企業では、会社内の産業医、保健士、看護師、衛生管理者などの常勤職員で、メンタルヘルス対策を取る内部EAPで対応することがあります。スタッフが社内に常駐しているというメリットがある反面、健康管理スタッフを常時抱えるため、費用対効果が良くないと考える経営者も多いようです。
これに対し、EAPを社外にアウトソーシングする企業もあります。この場合のメリットの一つは、社員の相談内容が会社に知られることなく、プライバシーが守られるという点にあります。産業医には守秘義務があり、社員のプライベートを外部に語ることはあり得ないのですが、社員によっては、「産業医は会社の手先」のようにとらえている人も多いからです。経済的に特定の会社に依存せず、労使双方に中立的な立場を取れる外部機関によるEAPの方が、相談しやすいと考える方が多いようです。
本来EAPは、組織の生産性向上を目的としています。ゆえにメンタルヘルスに限らず、仕事上のパフォーマンスに影響を与えうる、全ての問題を支援の対象としています。これまでの事例では、主に健康、人間関係、お金、将来のキャリアに対する相談が多くみられます。
ここで重要なのは、一つのEAP会社から全ての相談内容に対して満足の行く回答が得られるわけではないということです。それぞれのEAP会社には、当然それぞれに強み・弱みがあります。それを的確に判断した上で、活用されるのがよいと思います。
企業によって、必要とするEAPプログラムは当然違います。メンタルヘルス対策。その他の健康対策。医療機関に繋げるネットワークの有無。対人関係・家族問題の心理的課題。キャリアカウンセリング。こういった課題のうち、自社に必要なプログラムは何かを考慮し、EAP会社を選択することが重要だと思います。